
院長特別寄稿
〜採点者は解答論述をどう読むのか?〜

ドクターエーロンです。早いもので、2004年も7月下旬に入り、そろそろ秋試験の準備を始める患者さんが多くなってくる頃だと思います。論文塾の内容も決まり申し込みを開始しました。
早いもので、論文治療クリニックも2000年の開業から5年目を迎えました。当初は論文の「書き方」からスタート(A論のページ時代)、翌年からオンライン添削を導入(論文治療クリニックとして再スタート)その次の年から論文塾を開始、対面と添削サービスを本格化させました。
そもそも、なぜ、ドクターは添削を始めたのでしょうか。それには理由があります。
添削を始めたのは、「書き方」コンテンツだけでは患者の方々の「病巣」が把握できなかった理由によります。
いくら一方的に「書き方」をオンライン講義(注:当時はエーロン教授として、大学をコンセプトにし、講義コンテンツを充実させていました。)しても、本当にかけている?のかよく分かりませんでした。
考えた挙句、はやり、患者の方々が書いてくれた論述を見ることが必要と感じました。だから添削を始めました。そして添削することではじめて分かったことがたくさんありました。それは・・・(以下次回))
7/26 採点者は、解答論述をどう読むのかA・・・添削を始めて分かったこと

やはり、採点をしないと分からないことはありました。論文塾も含め、患者の方々から提出いただいた論述解答は、同じ問題を使い、同じ2時間で同じように2400字以上書かれたものでも内容が全く違うことがよく分かりました。
たとえばクリニックのオープン添削では細かい添削はしていませんので、よく分からないかも知れませんが、論文塾での採点ではA〜Dの評価を行いますので、点数をつけ総合評価を行っています。
ここでのA評価が本番でもA評価になるはず(同じように本番でもかければ)ですが、A評価の論文にはやはりA評価の特性があります。その特性とは何か?これを簡単にいうと・・・(以下次回)
7/28 採点者は、解答論述をどう読むのかB・・・A評価の論述には何があるのか

A評価の論述には何があるのでしょうか。B・C・D評価論述と何が違うのでしょうか?
これは、患者の方々が非常に知りたいかつ知りえないことだと思います。大量に採点した経験がないと分からないのです。
ドクターの経験から言うと、「A評価の論述は読んでいて納得感と仕事振りが頭に明確に浮かぶ」のです。
読んでいて「うんうん」頷きながら一気に読める内容なのです。
したがって、A評価の論文は一瞬で読み終わり、評価も終わってしまうのです。実は、A評価論文は我々採点者にとっては、非常に楽な仕事なのです。(以下次回)
8/1 採点者は、解答論述をどう読むのかC・・・A評価論述の特性を感覚的に言うと

では、A評価論文の特性を考えていきましょう。ここではまず、感覚的な話をしましょう。
論理的に説明する前に、採点者がA評価論述と出合ったときにどういう感覚を受けているかを紹介しておきます。
ドクターは大体、以下の感じを受けます。
@あっという間に読み終ってしまう。
A読むとき、勝手にうんうん頷いてしまう。
B読んでいて、書き手の仕事振りが脳にイメージできてしまう。
つまり、採点者に手間をかけない優等生。この結果、多少弱いところがあっても、目をつぶってしまう(これを心理学ではハロー効果と言います。なんか良い点がたくさんあると、悪い点があっても、悪いわけがないと思いこんでしまうこと。)
そういうのがA評価になることが分かりました。では、そうでない論文は・・・(以下次回)
8/9 採点者は、解答論述をどう読むのかD・・・A評価にならない論述の特性は?

ドクターです。1週間取材で事務所を離れておりました。このあいだWEBの更新ができなくて申し訳ありませんでした。では続きを。
前回までで、ドクターが考えるA評価論述の特性を感覚的に説明しました。では、次にA評価にならない論述についても、特性を説明したいと思います。そもそも、A評価に至らない論述にもいろいろレベルがあるのですが、共通して言えることは以下の特性があるということ。これは、A評価論文の裏になります。
・読むのに時間がかかる。(内容が良く分からないので。)
・読むとき、途中でえっ?、はあ?、本当?などと言ってしまう。
・読んでいて、書き手の仕事振りが脳にイメージできない。
つまり、採点者が非常に苦労(仕事だから苦労といってはいけないのですが、ここは便宜上こう言います)をかける「やんちゃな論文」ということになります・・・まあ、こういう論文の方が思いでに残るのですが。
このような論文は、多少良いところがあっても、全体としては低い評価をつけてしまうのが人間心理。
採点者も人間です。いくら客観的に採点すべきという建前があったとしても、採取的には人間が点数をつける以上、主観性を排除するのは難しいと思います。(以下次回)
8/11 採点者は、解答論述をどう読むのかE・・・では、具体的に説明しよう!

ドクターです。まず、感覚的な話をしました。しかし多くの患者さん達には、これら「@あっという間に読み終ってしまうA読むとき、勝手にうんうん頷いてしまうB読んでいて、書き手の仕事振りが脳にイメージできてしまう」ということが分かり難いと思います。
それは当たり前です。なぜなら、これらの感覚は他人の論述を数多く読まないと得られらい感覚なのですから。では、これらを具体的に分かりやすく?説明していくことにしましょう。最初のテーマは「@あっという間に読み終ってしまう」です。そもそも、あっという間に読み終わってしまうというのは、「リズムがよい」という言葉で置き換えることができます。これをドクターなりに解釈すると、「論拠が明確、難しいことが書かれていない」ということになります。
論拠が明確とは、たとえば、ある行動を実施した理由が納得できるということです。逆に納得できないものは非常に疲れます。なぜ、疲れるかというと一生懸命、読み手が論拠の正当性を検証しようと頭を回転させるからです。以下の文章を考えて見てください。
文章@・・・「私は、テスト計画を作成することにした。今回のシステムのユーザニーズの特徴は、使いやすい画面インターフェースであり、操作性を向上させる細かい機能が多い。そこで、システムテストでは、操作性のテストを重点課題とし、ユーザーにも積極的に参加してもらう方策が必要と考えた」
これは、○論述です。主張と論拠の関係に矛盾がなく、読みやすい文章です。しかし、これを以下のように変えると、疲れる文章になり、間違いなく嫌われます。(以下次回)
8/13 採点者は、解答論述をどう読むのかF・・・疲れる・・・困った論述とは

ドクターです。では、疲れる文章を考えていきましょう。
文章A・・・テスト計画を作成することにした。テストでは、操作性テストを行うために細かいテスト仕様書を作成した。それと、ユーザ担当者がテストをするので、その準備をした。テストケースは、200種類考え、メンバーとユーザに実行させ、チェックしていくことにした。テストは順調に進み、特に問題なく完了した。
これは、×論述です。疲れます。何を考えているのか理解するために頭を使うからです。
これは作文というか日記。
やったことが関連なく事実に基づいて書かれており、行動や主張を支える論拠がありません。読んでいるほうは、受験者が何を考えてやっているのかまったく分からす、最後まで「良く分からない行動をする人」と見なして、冷たい採点を付けてします。(以下次回)
8/16 採点者は、解答論述をどう読むのかG・・・「具体的に書け」の具体的を取り違えている患者は多い!

ドクターです。今、論文塾の模試問題を作成しています。
あらためて感じますが、本試験問題は非常に限定テーマになっているような気がします。
たとえば、昔はテストについて全般的に書くことができたのですが、今は「保守フェーズによるシステムテスト」とか、フェーズやシチュエーションを限定した出題になっていますよね。これでは、書くほうも具体的にならざるを得ません。これは「より具体的に書かせる」というのが主旨のようです。
確かに、人の能力を見るには、具体的に何をしてきたのか、具体的にどんな状況だったのか、具体的にどのように考えて、具体的にどうだったのかを書かせるほうがいいです。
ドクターも教育コンサルタントですから、IT人材のコンサルや、ベンチャー経営者教育、学校の講師として、いろいろな指導をしますが、スキルや考え方を把握するには「具体的にどうか」を問うことが欠かせません。
しかし、これが曲者なのです。受験者を惑わせる怪しいキーワードなのです・・・(以下次回)
8/18 採点者は、解答論述をどう読むのかH・・・「具体的に書け」の具体的を取り違えている患者は多い!

ドクターです。では、続きを。
具体的なことは非常によいのです。しかし、この「具体的」というのが受験生を惑わせる曲者なのです。
「具体的に書きなさい」と問題に指定されると、多くの患者さんは具体的に一生懸命書こうとするのですが、実はこの「具体的」を勘違いしている人が大半。皮肉なことに、合格しようと一生懸命素直に具体的に書こうとすればするほど、「自分にしか分からないこと」を書く傾向があることをドクターは掴みました。
具体的なことは非常によいのですが、でも、考えて見てください。もし、具体的なこと=自分しか分からないこと が成立するのであれば、採点者は理解できません。つまり、具体的なこと=自分でしか分からないこと は成立しないのです。(以下次回)
8/23 採点者は、解答論述をどう読むのかI・・・自分でしか分からないことを書く弊害

ドクターです。採点をしていていつも思うのは、「よく分からない状況」を一生懸命再現する患者さんの論述です。何をどういう状況で何をしたのか。分析手順を書くのですが、何のためにやっていることなのか?がよく分からないことが多いですね。その方の企業の標準なのか、はたまた患者さんのお考えに基づいているのか。少なくとも一般的ではないです。例がなくてスミマセン。このような論述はまったく覚えられないので、例を記憶していません。
とにかく言えることは、第3者に「分からない」状況での論述は避けていただきたいということ。前にも言いましたが、分からないことを分かるために採点者は頭を回転しようとします。少なくとも2回は読もうとするのですが、2回でも良く分からないものは、まず評価が低いと思ってよいでしょう。
具体的にというのは、たとえば、問題が起こって分析して、対応する方策が具体的にということであって、あなたしか分からない状況を具体的に書くということではないのです。(以下次回)
8/25 採点者は、解答論述をどう読むのかJ・・・「自分しか分からない」論述は、採点では、どうコメントされるか?

ドクターです。前回はちょっと抽象的でした。自分でしか分からない論文とは、以下のことが書いてある論述です。
@社内用語を使う。
A社内の作業標準をそのまま書いてあるが、どうしてその作業手順にしているのか分からない。
B登場人物の描写を書いているが、それぞれの人間のバックボーンや立場、役割がよく分からない。
こんなところでしょうか。書いている人は一生懸命なのは論述を読んでいて分かるのですが。中身は全然わかりません。しかたなく、添削時は赤ペンで原稿用紙のアンダーラインを引き・・・
・これは何を言っているのですか?一般的な用語や行動の理由を書いてくれないと分かりません!(芦屋広太)
と記入してしまいます。そして、全て読み終わったあと、原稿用紙の最後に評価コメントを書くのですが、ここは・・・
・発生した問題事象や解決すべき課題に対し、あなたが何を考えて、実行したのか。その理由は何だったのかが最後までわかりませんでした。もっと、一般的な論理展開を心がけてください。具体的には、○○の部分を△△に替え、(以下略)すべきでしょう。
・システム開発で経験したことを第三者に説明できるよう、一般的な言葉で説明する練習をしてください。とにかく、あまり、事実をありのままに書かないことです。(芦屋広太)
のように書かれてしまいます。もし、ドクターに採点され、上記のようなコメントがあれば、それは「自分しか分からないこと」症候群と診断されたということです。(以下次回)
8/30 採点者は、解答論述をどう読むのかK・・・”読後に納得感のない”論述の評価は?

ドクターです。自分しか分からない論文がいかに評価されないか分かりましたね。
では、次の評価されない論文にいきましょう。それは、”読後に納得感がない”論述です。読後に納得間のない・・・とはどういうことでしょうか。それ
は、論拠がないということです。実施した行動に理由がないということなのですね。これは、ドクターがいままで何回もいってきたことですが、論文塾で採点をしているといつも理由がない論述が多いことに驚かされます。論拠は大事です。
論理的ということは、喧嘩に勝てるということです。他人を説得できるということです。何でこの行動をしたのかを必ず書くようにしなければ×です。これは、一般論文でも、レポートでも、プレゼン資料でも同じ。何を目的として、やったのか。なぜそう思ったのかを書いてください。(以下次回)
9/3 採点者は、解答論述をどう読むのかL・・・”読み手を頷かせる”

ドクターです。次に感心する論述について説明しましょう。キーワードは”自分の考え”が入っているかということです。
人間は、他人と話したり、論述を読むときに、何を考え、どのように行動したのかを理解したがります。単に、やったことだけずらずら書いても駄目。
実行したことや主張にあなたの考えが入っていなければ駄目です。
些細なことでもいいです。状況はどうだったのか、何が必要と感じたのか、どう行動したのかをあなたの考えを明らかにして書いてください。それも、分かりやすく書いてください。そうしないと、行動に一貫性を見出すことができず、理解できないのです。
読み手を頷かせるには、あなたの考えを理解してもらわないと駄目です。これも合格論文の条件です。(以下次回)
9/13 採点者は、解答論述をどう読むのか(最終回)・・・”最終的には、論理性と題意整合性、内容

ドクターです。一週間更新せずに申し訳ありませんでした。実は、論文塾の採点が始まり忙しくなった上、専門学校の短期講義が始まりテキストの作成に忙しかったのです。この時期になると、次のコンテンツとして「論文塾での治療から」がスタートします。実際の論述を見ながらどういう論述が評価されるかを報告しますので、論文塾受講生だけでなく、一般外来の患者さんにも有効だと思います。
さて、今年はもう一つ面白い企画があります。講義をしている専門学校の学生がアプリケーションを受験するというので、特別指導をしています。学生でAE合格。これは非常に難しいので、ドクターの治療力を試すために引き受けました。依頼者は有名な大滝みやこ先生です。大滝先生が面子にかけて午前と午後Tを指導するということなので、ドクターが午後Uを担当することになりました。いままで、ドクターの指導では大学院生で合格したケースはありますが、専門学校生(20歳)で合格させた経験はありません。このあたりも順次レポートしていきたいと思います。
本題に戻りますが、この特集もそろそろ終わりにし、次回からは、具体的な指導内容を「論文塾の治療から」で解説したいと思います。最後に一言いっておきますと、最終的には、論理性と題意整合性がよい論文によい評価を与えるということです。これに加え、内容がよいこと。内容がよいとは、事実(っぽいこと)が書かれており、なるほど、こういうシステムやこういう考え方があるのかを読み手に伝えることができること。読み手も採点をしながら勉強したいと思っております。新しいことを教えてくれる論文には感謝しますので、評価も高めにつけます。
当然、論理性はもちろん大事。論文としての格調も重視します。口語体文章はいけません。あと、題意整合性(問題の要求にあっているか)も大事です。題意整合していない論文は、どんなによくても、×です。
採点者は、こういったことを気にしながら採点しています。したがって、よい評価をもらうためには、このあたりの感覚をもって書くことが必要なのです。(採点者は、解答論述を同読むのか・・・終了)