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 試験当日のメンタル治療(2003



 ドクターエーロンです。もう余りお話しすることもありませんが、最後に自分の経験から少しメンタル面についてお話しさせていただければと思います。

ドクターの患者時代のエピソードは、日経ITプロフェッショナルの「不合格体験記」に詳しく書いておきました。

ドクターがAEを受験しているころは、あまり試験対策がオープンでなく、サイトもありませんでした。それから考えると、いまは試験に関するサイトも書籍も増え、受験生にも勉強しやすい環境になったと思います。

でも、前も今もまったく変わらないものがあります・・・それは、最終的には知識や経験を超越した人間メンタルな部分が試験を左右するということです。

つまり、粘りがどれだけ出せるかということです。粘りがなければ、何をやっても効果は期待できません。逆に、粘りがある場合は、当初予想以上の成果がでたりします。粘りに勝るものなし。心理学や脳関連の研究をしていると、本当にそう思います。

粘りとは、よく分かるようで、実はよく分からない言葉です。単に、しつこくやる、あきらめない、などの根性論もあるのですが、ドクターは単なる「根性論」、「精神論」は最も嫌いなものの1つです。しかし、嫌いといっている「粘り」がやはり最も重要なのだろうと考えています。

 この話は少し分かりにくいと思うので、ドクターのエピソードを紹介しましょう。


 ドクターがまだ若いころ(ヤングドクター)の話です。ヤングドクターは、この頃、3回目のAE試験を翌日に控えていました。ヤングドクターにとってAEは初受験から5年目で、まだ合格できていませんでしたが、非常に取得したい試験でした。

 というのも、ヤングドクターは、大学卒業後1年目から業務アプリケーションのSEとして仕事をしてきたからでした。プログラマを担当することなく、テクニカルSEを担当することなく、ひたすら業務を分析し、アプリケーションを作ったり、業務を改善する仕事をやっていたのです。

したがって、情報処理試験が改定され、旧特殊技術者からアプリケーションエンジニアができたとき、ヤングドクターは、「自分のための試験」ができたと感じたのでした。

 それまで、ヤングドクターは「自分のやっていることは、何なのだろう?」、「プログラムもネットワークもあまり詳しくないSEがの世の中いるのか?自分は業務アプリケーションは非常に詳しいが、社会的価値があるのか?」と常に疑問をもっていました。
 
 当時通産省の国家認定資格にアプリケーションができたとき、ヤングドクターは、その想定する人材像やスキル標準を読み、自分とぴったり一致したものとして「アプリケーションエンジニア」に合格したいと考えたのでした。つまり、アプリケーションエンジニアはヤングドクターにとってアイデンティティだったのです。

 しかし、現実は甘くありません。ヤングドクターは、ずっと試験に合格できませんでした。当時のヤングドクターには、文章力も人に語れる十分な経験もありませんでした。まだ、「下働き(したばたらき)」だったこと、もともと大事なことを覚えるのが下手だったこともあり、なかなか合格できなかったのです。(このあたりは、不合格体験記でご説明したとおり。)

 しかし、このときは違いました。それまでの不勉強を反省し、十分な準備を行い、試験に臨みました。今回は必ず合格したい。後がない。とう気持ちが知らず知らずのうちにプレッシャーになっていました。

試験当日の朝は緊張気味でした。やや早めに会場につき、できるだけ平静を装い、午前試験を終えました。

午前はまあまあできました。これで午後Tを採点してもらえるだろうと思い。ひとまず安心し、昼食を食べました。

続いて午後Tです。これも5問中3問を選択し、よく書けたように思いました。(当時は、4問中3問選択ではなく、5問中3問選択だったと記憶)

午後Tが終わるとドクターは満足し「今年はいけるかもしれないと」楽観しました。後は、午後Uだけです。午後Uはだいぶ準備しました。今までのAE論文の延長なら、確実に合格レベルが書ける自信もありました。

しかし、午後Uがスタートして、問題用紙を見たとき、凍りつきました。


@CASEツールについて
Aソフトウェアパッケージについて
B性能改善について


この3つでした。(このあたりのエピソードは「情報処理 はじめての午後U論文攻略ゼミ(経林書房)に記載。既にご存知の方はご容赦」)

どれも、かけないと思いました。よりによって、まったく経験がないのが3テーマ。運命を呪いました。3つのテーマをそれぞれ数回
づつ読みましたが、やはりかけない内容でした。ヤングドクターの頭に、「ポジティブな天使」と「ネガティブな天使」が現れ、話を始めました。


【ネガ天使】
 やっぱり、お前には無理なんだよ。運がないんだ。まあ、午後Tまではできたんだから満足しろよ。今年は運が悪かったんだ。
 さあ、家に帰ってビールを飲もうぜ。疲れたろ。肉でもかって帰ろう。


【ポジ天使】
 それではいけないわ。せっかく午後Tまで上手くいったのよ。来年になったら、午前、午後Tでつまずくかもしれないのよ。今年で決めなさい。ぜったい今年で決めるのよ。家に帰ってビールなんてとんでもないわ。

 さあ、ペンをとり、論文構成をしなさい。ネタを考えるの。書き出すのよ。論文講師の先生からそう教わったじゃない。先生は「ぜったい書ける」と言っていたじゃない。さあ、書くのよ。


 この瞬間、ヤングドクターは、過去の記憶をずべて呼び出し、1つのシステム開発経験を取り出しました。それは、いままで意識していなかったあるバッチシステムの性能改善を指揮したときの記憶でした。問題の題意にぴったりしているとは思っていませんでしたが、それ以外書けるネタ、経験はありませんでした。

それから、30分間。ヤングドクターは、よく考え、よく粘り論文構成を作りました。バッチシステムの経験で足りないネタは、他の経験を使ってつなぎあわせました。つまり、このテーマに合うネタを探すことに集中しました。

そうすると、不思議なことが起こりました。当初、このテーマ3つではどれもかけないと思っていたのが、かけそうな気がしてきました。時間が進むにつれ、頭の回転がよくなる気がしました。このテーマにあわせた経験を取り出したいと強く念じたから、脳の海馬(記憶をつかさどる部分)がものすごいスピードで記憶を探索し、適切な記憶を検索するシナプスをつないだのでした。

こうなると、右脳、左脳全開でした。あとは、2時間論文を書くのは簡単でした。粘りのおかげで脳の海馬がフルスロットル状態だったので、興奮系ホルモンのドーパミンが分泌されたようで、2時間は疲れなしで頭に多くのネタや経験が浮かびました。それを手で書くだけですから、非常に楽でした。頭に浮かぶのが早すぎ、手がついてこない感じでした。

結局、午後Uは2600字でした。結果は合格。このときのAE受験ノウハウが、論文治療クリニックの原点です。
ヤングドクターの合格は、粘り以外の何ものでもありません。試験当日は必ず粘ること。これがドクターのアドバイスです。それから、お願いです。試験後に試験の手ごたえや感想を「患者たちのためいき」にアップしていただけるようお願いします。では、がんばってください。応援しております。



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